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〝さとしへ。オフィスみっちゃんはこのまま営業を続けるのでそのままにしておくように。宜しく〟
ドアを開けると壁に貼り付けてある写真の枚数は増えていた。そこには佐知子とのツーショットの写真がいくつか追加され、妻帯者アピールをしてるふうにも見えた。結局さとしの部屋は半分のままで変わらない。
夜になって町子と理子が外出先から戻り、徳三郎が突然家に帰ったことを知る。2人は驚くと同時に少しホッとした。
「おばあちゃんといつ仲直りしたのかしら?」
不思議そうな町子は、買ってきた5人分の食材を4人分にすれば良かったと、食材を眺めて溜め息をついた。
そのうしろ姿を見た理子は、町子に言葉をかける。
「おじいちゃんにはまた遊びに来てもらえばいいじゃん。元気出しなよ」
理子は、町子が寂しそうに肩を落としていると勘違いをし、慰めの言葉をかけた。
オフィスみっちゃんの存在を忘れていた2人。明日から徳三郎の営業活動(散歩)によって頻繁に客を連れて来ることなど知る由もなかった。
さとしは徳三郎を知っている。
ここにオフィスと看板がある以上、どうせ毎日出勤してくると確信していた。
「じーちゃん、オレの部屋の貸店舗代は後で請求するからね」
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