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その人は一年分のマンションの家賃を払うとだけ言って出て行った
こんな所、一刻も早く出たかった
夜勤のバイトばかりして金を貯めた
そして1年後そのマンションを出てアパートに移った
昼間はボイストレーニングやピアノの講師をやり、土日だけ夜勤のバイトを入れた
相変わらず眠りは浅くあの時を思い出して息苦しくなる日もあったが思い出さないようにわざと忙しくしていた
パソコンも得意だったので
アプリを開発しようと夜な夜な試行錯誤を繰り返していた
すると、信じられない事にそのアプリが5千万円の収入をもたらした
ぼくはその金でマンションを買った
安心して暮らすにはまず家がないといけないと思ったんだ
防音工事をした音楽部屋とゲストルームを一部屋作ってバンド仲間が泊まれるようにした
生活は少し楽になったが暮らし向きは変えずに仕事とバイトは続けた
ある日、バイト先で送別会があった
そのバイト先でちょっと気になる女の子がいたんだ
でも表には全く出していなかったから誰にも気づかれていなかった
その子はいつも明るくてちょっと男前な女の子
ムードメーカーでみんなが仲良くできるように中和する気配りのできる人だった
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