アニーの場合

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「ご主人、証拠品ですので、お手を触れないで下さい。」神保警部が父親に言った。 ふう、大人の方が無神経だな・・・。神保警部は思った。 不思議な事件だった。いや? 結果的には事故なのか? 家出娘に振り回され、腹が立って居るはずなのに、神保警部も智子とアニーの一途さが心に沁みた。 RC3301型-No.2508はライフサポートサービス社を通して製造元の四つ葉電工に送られた。RC3301型-No.2508は人型、つまり手・足・頭のある金属製のロボットだった。 エネルギーは、水素を充填しても良いが、人と一緒に食物を食しそれを発酵させてガス化しそれでタービンを回して充電できた。 そしてインプットのインターフェイスを目に見立てたカメラ、耳に見立てたマイク、そして手足に見立てた触覚センサーから得る、完全な機械学習型AIを頭脳に持っているロボットだった。 だから、経験値がすべて知識となり最初は知識不足で間違っていた事も、どんどん正解に近くなる。 それも自分が経験する世界の知識がベースになるので、地域によって異なる常識(あるいは慣習)というものも、それぞれの地域に合わせて学習していった。     
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