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実際、それまでアニーが色々判断をして智子に教えていたのに、最近は、智子が自分の考えをアニーに説明する事が多くなった。それほど、智子の成長は著しかったし、指示内容は納得できるものだった。
しかし、この指示はアニーには承服しかねた。
「それはそうですが・・・・、このような指示は想定外です」
「変な日本語覚えないでよ」
「お嬢様、何を考えておられるのですか?」
それには答えず、反対に質問した。
「アニー、私の指示を拒否出来るケースは?」
「まず、他人を傷つける指示は拒否できます。たとえば、喧嘩になったときにあの人を殴れ、とか。次に、指示者、たとえば私の場合はお嬢様ですが、指示者自身を傷つける行為も拒否出来ます。指示者の自殺などを防ぐために。そして、私自身に危害が及ぶ指示は拒否出来ます。ここから飛び降りろ、などです」
かつては、法律に違反することはすべて拒否、という厳しいルールがあった。ところが、ある家庭の養育係が、車が全く通らない赤信号を絶対に渡らず、熱を出した子供を病院に運ぶのが遅れた事があり、絶対に拒否出来るルールが大幅に緩和された。
「そう、これは命に関わることでは無いわ。だから私の指示に従って」
アニーは困った。
こんな事をしたら大騒ぎになる。ご両親に心配をかけるし、自分が所属している会社にも迷惑をかける。
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