7人が本棚に入れています
本棚に追加
でも、お嬢様に付き合いながら奥様に連絡を取れば良いし、GPSを起動していれば場所は特定してくれるから大丈夫だろう。そう思ったら気が楽になり「はい、承知しました」と言った。
「ところで、アニー」ニコリと微笑みながら「誰にも連絡をしてはダメよ。あと、GPSも切って置いてね。クラウドにもアクセスしないで」
そう言って智子もスマホの電源を切った。
「大体、あなたの考えている事は解るのよね」
一日目は、東京駅近くの5星ホテルに泊まった。どこへ行くにも便利だと智子が言った。
アニーは、一泊すれば智子も気が済むのではと思っていたが、そうではなかった。
精算を親から預かっている養育係用のクレジットカードで支払った。
「行くわよ」
そういって、先に智子がホテルを出たのでアニーが後を追った。
人混みの中に紛れた頃、入れ替わりに、パトカーがホテルにやって来た。
それを見て、思ったよりも早いわね。やはりクレジットカード使っちゃダメね。智子がボソっと言った。
「お金いくらある?」
「買い物用に預かっている残りの7,860円です」
「遠くへは行けないわね。多摩の方へ行きましょう」
アニーは、どうして智子がこのような事をするのか、戸惑っていたが、その時にはお嬢様育ちの智子にお金の無い生活は無理だから直ぐに根をあげると思っていた。
「アニーはこの家出、反対してるのよね。何となく協力的でないものね。」
最初のコメントを投稿しよう!