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背徳への入り口
肩に生暖かい感触を感じ彼女がキスをしているのがわかった。
しばらくして肩に鋭い痛みを感じた。
あまりの痛さに声をあげそうになったがやさしく柔らかい手の平で口を塞がれた。
数回思い切り肩や背中を思い切り噛まれたが不思議なことに逃げようとしなかった。
やがて彼女の口は耳元に向かい甘噛みと愛撫を繰り返した。
「今度からゆうこと聞く?」
「え?」
突然聞かれて返せずにいると、背中をまた葉型がつきそうなくらいに噛まれた。
「はい、はいっ」
あまりにも痛くて、噛むのを止めてほしくて急いで返事する。彼女の突然の急変に動揺している自分がいたが、それが心地よくもあった。
彼女は私の背中を勢い良く後ろに引くと、私を仰向けに転がし、お腹の上にまたがった。 そして私の乳首を激しくつねった。
情けないことに下半身がいまだかつてないほどに興奮しているのが分かった。
痛いのを必死で声を出さずに我慢していると彼女はうれしそうに微笑み、下半身を思い切り指で幼い頃に遊んだ(でこピン)をするようにはじいた。
「痛い!」
ちぎれるかと思うくらいの激痛が下半身に走ったが、身体はそれを楽しんでいた。
「今からは絶対に逆らわないでね」と彼女は言うと唾をゆっくりと私の胸に1,2滴たらし、今度は口に向かってたらし始めた。
私は避けることなくそれをうれしく飲み込んだ。
「私はあなたをお金で買ったの! わかるでしょ!あなたは私の言うことを聞くの」
ぼーっと彼女の声を聞いていると平手撃ちが飛んできた。
「返事! して!」
私は彼女をこれ以上怒らせないため素早く返事した。
その日の精子の受け渡しは今までとは違った形で行われた。
命令と服従「飴とムチ」で要求されたことにすぐに反応しないと罵られ、身体をつねられたりひっかかれたりの罰を受けた。
今まで、そういう性格でも性癖でもなかったので、無意識に自然と彼女の身体に触ろうとするのだが、こっ酷く暴力を受ける。(飴)は与えてもらえず、馬乗りになった彼女を触ることもできなかった。
なにも良い事がないように思えるが、彼女は新しい刺激的な(遊び)を教えてくれた。
どんなに私を痛めつけられても、飴である最後の精子の受け渡しは、彼女にも絶対に避けることはできないのだ。このご褒美だけは絶対に受け取ることができるのだ。
服従と恐怖と快感でぐったりしている身体に反比例して、下半身の私のモノは力強くそそり立っていた。
彼女はそれを中に取り入れると激しく腰をふり動きだす。
接合部分から流れ出す液体がこぼれだす。
彼女は感じるたびに爪を私の身体にくい込ませる。
そして少しでも私がイキそうになると腰の動きをピタリと止めた。
さんざんもてあそばれた挙句に、やっと彼女は射精を許してくれた。
私の全てを搾り取ると彼女は立ち上がり、後はいつものようにあそこに折りたたんだティッシュを当ててパンティをはいた。
一方の私は、まだ寝そべっていたかった。あらためて自分の身体を見てみると無数のひっかき傷があり、血がにじんでいる所もあった。
酔いが冷めてきたのだろうか? 肌寒さで少し身体が震えている。
すでに服をきた尾上さんが近づいて来て隣に座り込む。
綺麗な指先を引っかき傷のところにやさしく痛みを取るようにそわせていった。一通り傷を指で撫でたあと、彼女は私の身体をゆっくりと起こしトランクスをはかせてくれた。
シャツを着せた後、彼女は視線を私の目に移しそのまま見つめた。
私もまた瞳を見つめ返した。
潤いのあるきれいな瞳に見とれていると、「痛かった」と今までとは別人のように彼女がたずねた。
「いいえ」と答えると、まるで子供によしよしするように頭をなでられた。
私は感極まったらしく、また涙を流し始めた。
彼女はそれを止めようと抱きしめて頭を撫でてくれるが、逆にそれがきっかけになり、ただ涙が止まらなくなるのだ。
彼女は形の良い柔らかい胸を押しつけて慰めてくれる。
目をつぶり暗闇の中、彼女の甘い香につつまれ、夢の中にいるようだった。
今のままで充分満足なはずなのだが、また怒られても殴られても構わない!
という無謀な気持ちでお願いした。
「キスしてもいいですか?」と言うや否や、彼女は私を鋭い視線で睨んだように思えた。
また血が出るほど爪をたてられるのかもしれない。
彼女は表情を変えずに私の心の中を見透すように見つめている。正直なところキスをしてもらえなくても構わなかった。
思い切り殴られたとしても今の自分には強い快楽をもたらしてくれるとも思った。
彼女は見つめたまま顔を近づけて触れるか触れないかのところにくる。
息が止まりそうなくらい緊張した。
でも彼女は何も言わない。
お互いの息遣いが聞こえる。
「いいよ、キスして」
かなり長い間見詰め合った後、彼女は微笑んで言った。ためらって動けない自分をもてあそぶように犬のような舌使いで唇をゆっくりなめると、やがて口の中に強引に彼女の舌を侵入させ,私の舌に絡め始めた。
長い間の唾液の交換の後、私は鼻先をつままれ息をギリギリまで止められた。何回もそれを繰り返した後、やっと彼女は私を解放した。
「もう我侭は言ったら駄目よ」
肩で息をしている私に彼女はそう一言かけると静かに去って行った。
彼女がでていくと、外の風がかなり強いことに気付いた。薄暗い部屋の中にポツリと座って、先程起こったばかりのことを思い返す自分がいた。相手にコントロールされるということがこんなに自分に快楽をもたらすことに驚いていた。
自分の心が激しく尾上章子に向いているのが不思議であり怖くもあったが、容易にこの思いを止められなくなっているのを認めざるを得なかった。
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