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「だって今日は大事な日でしょ?」
「綾、顔に出てる。
そんなに嬉しいのか?」
そんなの嬉しくて当然だ。
ウェディングドレスを着る機会だなんて、二度もないのだ。
それに智也とこれからもずっと一緒にいられる。
それほど嬉しく幸せなものはない気がした。
「早く行くよ智也!」
智也の腕を引いて歩き出そうとする私。
けれどその前に智也が私を引いて、彼の方に振り向かされる。
そして一瞬の隙に、唇を重ねられた。
「ちょっ、な、何して…!」
場所を考えてほしい。
いくら人通りが少ない場所とはいえ、ここは外だ。
「綾が可愛くてキスしたくなったから。
…って、何照れてんの?」
「そんなの照れるに決まってるでしょ!
場所考えてよ場所を!」
私は熱くなる顔を隠すようにして、智也の前を歩き出す。
不意打ちでのキスは、相変わらず慣れない。
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