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「はい、席についてー」
三時間目、国語の授業で智也のクラスに行く。
けれど教室はいつにも増して騒がしかった。
その理由はただ一つ。
「先生聞いてくださいよ!ついに智也に彼女ができたんです!」
「……え?」
それはあまりにも衝撃的だった。
「違うクラスの女の子なんすけど、それがすっげぇ美女で」
「智也、お前は女に恵まれすぎだぞ!」
そうからかわれる智也だったけれど、彼はただ「うるせぇ」と言うだけで否定はしない。
恐らく本当なのだろう。
けれど、どうして?
どうして智也は、彼女なんか───
いや、何動揺してんの。
私に智也の恋愛事情なんて関係ない。
所詮、恋愛なんてそういうものだ。
飽きたら終わりなんだって。
「恋愛の話は休み時間にして。
授業始めるわよ」
「ちぇ、黒崎先生も谷原先生といい感じなんですよね?
早く付き合ったらいいのに」
「そういうことを言わないの」
バレないように。
胸が痛むのがバレないように、私は必死でいつもの自分を演じた。
そうだよ智也は高校生なんだから彼女がいて当然。
だから私には、関係ないんだって。
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