切なさと甘さ

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切なさと甘さ

それからしばらく時は経ち、梅雨も終わり本格的な暑さがくる頃になっていた。 勉強合宿以来、私は智也と関わることを極力避けるようにしていた。 向こうもそれが伝わったのかわからないけれど、私に寄ってくることはなくなった。 智也の親が私の家に遊びに来た時も、智也は来なかったのだ。 なんだかんだ、このまま終わるんだろうと思っている。 やっぱり智也は私のことを遊んでただけなのか、と思うと少し胸に違和感があったが、気づかないふりをする。 逆に離れていく智也とは反比例するかのように、谷原先生との関係は親密になっていった。 今日も仕事終わりに、二人でご飯を食べに行くことになっている。 先生や生徒からは、もうすぐ付き合うほどいい感じだと言われるほど。 けれど私は、頼れる先輩という目でしか谷原先生のことは見れなかった。 そして今日。 合宿以来止まっていた歯車がまた動き出す───
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