【タスケテゲロ】

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{6} 川田が… 亡くなった…。 俺は、ぼぉっとした頭でベッドに横になり、 病室の天井を見詰めた。 「………」 ふと…さっきの木村の話を思い出す。 昨夜の川田は… 一晩中、『助けて…助けて』と… この病室で言い続けていたのだと言う…。 その時の… 川田の気持ちは… 一体、どんなだったのだろう…。 火傷の激しい痛み…。 そして、自分が死ぬかもしれない事への恐怖…。 「一晩中、『助けて…助けて…』と、言い続けていたなんて…」 俺は、たまらない気持ちになった。 全く! こんな事になるんなら… ドライブなんて、 行かなければ良かった! 何が!『絶好のドライブ日和』だ! 引き続き… 川田が言い続けていたと言う言葉が… 俺の頭の中で鳴り響いた。 『助けて…』 『助けて…』 と… 「えっ?」 不意に… 俺が、昨夜の夢の中で聞いた『あの言葉』が… 川田の言葉と、シンクロした。 『助けて…』 『タスケテゲロ…』 「あ…」 突然、俺の頭の中に… 『ある考え』が浮かんだ。 昨夜の川田は… 俺が寝ている右隣のベッドで一晩中、『助けて…助けて…』と言い続けていた…。 もしかして… それを眠りながら、ずっと聞き続けてた、俺の夢の中に… 川田の『タスケテ』と言う言葉が、 そのまんま聞こえた通りに、出て来たんじゃないだろうか…。 「いや、でも…」 と、俺はその考えを否定する。 だとしたら… 何で『タスケテ』が… 『タスケテゲロ』と、 夢の中で『変換』されたんだ?
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