【タスケテゲロ】

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ふと… 左隣の… 木村が寝ているベッドが、目に留まった。 そういや… 木村は、さっき… 『一晩中、川田の声がこの部屋に響き渡っていた』 と、言っていた。 それって… 『木村自身も、この部屋で一晩中、起きていた』 と、言う事にも、なる…。 「………」 再び… 俺の頭に『ある考え』が浮かぶ。 もしも… 昨夜、俺の右隣で、 川田が『助けて…助けて…』と言い続けていたのと同様に… 左隣の木村もまた同じ様に、 『別の言葉』を一晩中、言い続けていたのだとしたら…。 右隣から聞こえ続けていた川田の言葉と… 左隣から聞こえ続けていた木村の言葉…。 もしも… その二つの言葉が、俺の耳に重なって聞こえ… その結果『まぜこぜになった一つの言葉』として… 俺の夢の中に、出て来てしまったのだとしたら…。 『タスケテゲロ』…。 『タスケテ』は… 川田が言っていた言葉…。 残るは… 『ゲロ』の二文字…。 『ゲロ』…。 無論、これだけでは…全く、意味をなさない…。 「木村… お前は昨夜、一体、どんな言葉を言い続けていたんだ?」 俺は、左隣のカーテンに向かって言葉を投げかけた。 返答は、無い。 と… 「うん?」 そう言えば… 木村がさっきから、俺に向かって何度か言っていた… 『謎の言葉』が、有った…。 それは… 『斉藤…ニ…』 「………」 『ゲロ』と… 『斉藤…ニ』…。 この二つの言葉を組み合わせて… できる言葉と言えば……。 『ゲロ…斉藤…ニ』 『斉藤…ニ…ゲロ』
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