100日目に思うこと

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 なんと、今日は今年が始まって100日目である。100という数字がまさかこんなに大きな規模でやってくるとは、まさか思いもしなかった。  4月10日。  閏年でもなければ大体において年始から100日目に当たる今日、わたしは特段何をするでもなくぼんやりしていた。とはいえ、身体では何もしなくとも、頭は常に動いている。もちろんそのほとんどを仕事に充てているが、中にはほんの一部だけ、物思いに(ふけ)る頭があってもいいのではないだろうか。  ――などという口実はもちろん後付けであり、わたしの頭はわたし自身が許可するよりも早く思考の海に飛び込んでしまう。  世代の差、世代の差、とはよく言われるものであり、最近は時代別でのクイズ対決企画であったり、今ではもう使われない言葉や道具をクイズ形式で出題するという番組企画が流行してきてはいる。それはたぶん、連綿と続いてきた、ある意味伝統のようなものなのかも知れない。  それの伝統の是非をどう見るかはわたしの範疇ではないけれど、たまに「性格悪いな」なんてことを思ってしまうわたしもどこかにはいて。それはもしかしたら自分がクイズを出題される側の世代だからそう思うのか、という気もする。案外次の時代になってしまえば、今度はわたしも嬉々として次世代の人たちに「これわかる?」なんて意地の悪い顔を浮かべながら訊ねているのかも知れない。 「どう思う?」 「大丈夫、みんな君よりは性格悪くないと思うから」  あう、言われてしまった。  年始早々――というか年を越す瞬間も見ていた顔が、いたずらっぽく微笑む。そんな姿を見ながら、わたしは今日も、雨の降る街中を歩き回る。  最近増えてきた雨で、桜は少しずつ散ってきているけれど、こうしてわたしたちの足下を飾ってくれるんだったらそれも悪いことじゃないのかも知れないな――――とちょっとだけにやけて歩いていたら、「ニヤニヤ出てるよ」と釘を刺された。あうぅ。  きっと、こんな風にやり取りをして、残りの265日も過ごしていくのかも知れない。  そう思うと、今度は隠さなくても恥ずかしくないだろうニヤニヤが、頬に出てきた。
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