1話

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 街明かりはまぶしく、肌を撫でる風も心地いい。  家に帰ったら、シャワーを浴びてラベンダーの香りで眠ろう。朝はパンとハーブティーをいただこう。  なんて幸せ。明日も元気に大学へ行ける。  そんな想像は、すれ違った男性が急にうずくまったことで途切れた。  みんな関わりたくないらしく、彼を避けて通り過ぎていく。私もどう行動すべきか迷った。  でも相手が、さっきまで一緒の場にいたあの魔法使いだと気付いて、立ち去れなくなった。 「大丈夫?」  声をかけると、彼はガードレールにすがりながら立ち上がった。私はそっと言葉をつなぐ。 「顔色、悪いよ。みんなはクラブに行ったの? 誰か呼んでこようか?」  相手は表情を険しくした。 「冗談じゃない」  自分が感情的な声を出したことに気付いたらしく、居心地悪そうに視線を逸らした。改めて、怪訝な顔でこちらを眺める。 「ていうか、誰?」  私は小さな笑みを漏らし、それには答えなかった。  彼がゆらりと細い通路に入り、段差に腰を下ろした。うつむいて額に手を当て、深い息を吐き出す。  かなり参っているみたいだ。
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