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独り言のようで独り言じゃない。ただそこにいてくれる。それだけで充分だ。
途中から、彼の身体が細かく震えていた。私は気付かないふりをして話を続けた。
こちらの声がたまに揺らぐことに対して、相手もなにも言わなかった。
彼の目から雫がこぼれた。横顔に驚きと困惑が浮かんでいて、見られたくないだろうと思ったから、手のひらをかざした。
私は飼っていた犬のことを、いつまでも話した。穏やかなBGMにでもなればいい。
魔法使いは静かに横になっていた。乱れた波が落ち着いていくのが伝わってきた。
夜の公園のベンチで、お互い、わずかな心の休憩をした。ただそれだけ。
別れの時、言葉は交わさなかった。
彼がハンカチを返す。役に立ったみたいだから、それがなによりだ。
私は笑みを浮かべ、相手の反応を見ないままその場を離れた。
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