第2話 純潔の聖処女

3/5
前へ
/11ページ
次へ
 けれど、僕の話を聞けば聞くほど茜の表情は徐々に曇って行くばかりだった。それどころか茜の表情は更に変化し、僕に対して畏怖と嫌悪感を示す表情に変化していったのだ。 「……とにかく、お付き合いはできません。部活があるので、もう失礼してもいいでしょうか」 「待ってくれ……君は僕と一緒にいるべきなんだ、どうして分からない? 君は他の馬鹿とは違うはずだ……茜!」  茜は逃げるように僕の目の前から去ろうとする。  気が動転しているのか、恥ずかしがっているのか、茜の態度は素直では無かった。  茜自身も分かっているはずなのだ、茜の全てを知る僕と一緒になる事が彼女にとっても幸せである事を。  僕は茜の白く細い腕を強引に掴み、そのまま押し倒した。 「離して! いやぁ! 誰か! 誰か助けて!」  茜は恋愛、交際経験が無いと聞いていた。だから、異性から告白を受けて羞恥心を持つのも分かる。素直になれないのも分かる。だが、ここで茜の返答を有耶無耶にするわけにはいかない。だからこそ、茜には可哀想だが強引な手段に出たのだ。 「茜……っ、恥ずかしがる必要はないよ。僕は君の全てを知っている。君の本当の気持ちも……だから、だから、隠す必要はないんだ……っ、僕が!」  強引に迫れば、茜も素直になると思っていた。だが、僕が茜を押さえつける力を強めれば強めるほど、茜からの抵抗は激しくなる。     
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

55人が本棚に入れています
本棚に追加