小夜啼鳥は彼の為に唄う

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俺は鳥でも何でもないのに王様は時々そういう。冗談の様なものなのだろう。 そんな話をしているときに、元々優秀だと聞いていた人間に実戦訓練を突然申し込まれたのだ。 それはもはや賭ける大義のない決闘の様なものだ。 王様は興味なさそうに再び食事をつづける。 苛立ったその人は王様に掴みかかる。 王様はそれで漸くその人を見た。 王様は一時調子を崩していた。その後は、色々な物への興味が薄くなってしまったみたいになっていて、その分俺を構い倒している。 だから、それが気に入らないのか実力が無くなったのであればそれをはっきりとさせておきたいのだろう。 「そんな男を身代わりにして現実逃避もいい加減にしろ。」 自分に関係の無い人間の言葉で王様に言われた訳では無い。そう思うのにやっぱり直接言われるのは堪えた。 王様が突然席を立つ。 驚いて見上げたときに見えた表情は恐ろしい位無表情で、思わず唾を飲み込んだ。 「いいよ、対戦しようか。今すぐ――」 審判の準備よろしく。そういうと王様は俺の方を向いて笑顔を浮かべた。 「すぐ終わらせるから、終ったらゆっくり食事にしよう。」 「じゃあ、サンドイッチしまいますね。」 応援してますとも、必ず勝つと思ってますとも言えないまま王様の後に続いて競技場に向かって歩いた。     
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