王様の小鳥は

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王様の小鳥は

また王様の興味が、新しい美しいものに移ってしまったらどうしよう。 そう思う事は時々ある。 世界には尊いもの、美しいものが沢山ある。 歌だって俺よりも美しい声が出せる人間の方が多分多い。 王様と一緒に行動をして一緒に寝ていても、王様が俺の事を選んでいる理由が俺自身分からないのだ。 ◆ 「ねえ。隣の席、いい?」 授業のすべてが王様と一緒と訳でもないため彼が俺の隣にいない事もある。 そもそも学年が違う。 だけど、今まで色々な意味で遠巻きにされていたため、おや? と思う。 その人間の事を俺はよくは知らない。 けれど多分、俺よりは優秀で俺よりも出自がいい。 なんで、そんな人間が俺に話しかけてきたのか? 王様とお近づきになりたいのだろうか。 世の中のほとんどの物に碌に興味も抱いていない彼が、俺経由で誰かに興味を持つのかはよく分からない。 彼の興味を引く方法があるのなら、俺が知りたい。 その方法を使って、もう俺から興味がなくならない様にしてしまいたい。 わがままになってしまったと自覚した。 馬鹿なことを考えてしまったと思って、授業に集中する。 俺は、あの人に捨てられたら一人で生きていかないといけないともう知っている。 勉強位ちゃんとやっておくに越したことはないのだ。 授業が終わると「ねえ。」と話しかけられる。 王様について、聞きたいことがあるのだろうか。 それとも王様と三人でと話を切り出されるのだろうか。 二人で座席から立ち上がりながら話しかけられたので、そのまま立ち上がると彼の方を見る。 けれど、話しかけられた言葉は思っていたのと少し違っていておもわず、一瞬返事ができなかった。 「今日のお昼俺ら二人で食べない?」 この人と別に友達ではなかった。 今までそれほど話したこともない。 共通点ってやつがおおよそ見つからない。 「いや、俺ら植物学も一緒にとってて、君の作りだした花があまりにも綺麗だったから。」 ちょっと興味あってさ。 王様と、たまには飯位別でもいいかなって。と彼は笑顔を浮かべた。 花は先生にも褒められた。 と言っても目を見張るような成果じゃなかった。 彼が本心からそう言っているのかが分からない。 お昼ご飯は駄目でも、王様達のクラスが遅くまで授業してる日、少し話す位ならいいかもと少し思い始めていた。
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