2人が本棚に入れています
本棚に追加
「この子、大丈夫?」
「さぁ?どうだろうな」
そよ風の心地よい音と共に、自分に向けて発せられる声と微かに煙りのような匂いがする。
「そんな!」
「う──うぅ……ん」
「冗談だ、眼を覚ますぞ」
その言葉が聞こえると自然に視界が開けてくる、長い眠りから目覚めた感じがした。
「ここは──どこ?」
目覚めたばかりのボーッとする頭に浮かんだその言葉を口に出しすが、目を覚ましたことに驚いてか目の前にいた赤髪の女性はボクに勢いよく抱きつく。
「良かった!目覚めたよ!ロブスト!!」
「立てるか?」
死角からロブストと呼ばれる女性より明らかに老け顔の白い板のような物を加えた男性が現れ、手を差し伸べる。
「う、うん」
「お前、名は?」
ロブストから名を聞かれるが、思い出せない。
「……思い出せない、か?」
意外だった、ロブストは平然とそう呟いただけだろう、しかし名も無い彼にとっては彼が内心を読んだように思えた。
「お前はこの武器を持ってここで眠っていた」
そう言うとロブストは青銅でできたら剣を渡すが自分には何のことか全く分からない。
「──いや、気を失っていたと言った方がいいだろう。ここは魔晶華も多い、お前はその害を受けたってところか」
「魔晶華?」
「こいつだ」
そう言いロブストはポーチから妖しく光る小さな鉱石を取り出す。
最初のコメントを投稿しよう!