第1章 ロストメモリー

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「まだ来るか」 ロブストはそう言うと、腰を深く落とし武器を構える。 それを見てグリンガルルの群れはロブスト目掛けて飛びかかるがロブストの振り放った一撃によりまとめて辺りに飛ばされた。 「本気を出すまでもなかったか」 ロブストは武器を背負うと、辺りに魔物の気配が無くなったことを後衛にいた2人は悟る。 「あ、あの!」 「なんだ?えーっと」 「クロワールだよ!ロブスト!」 ロブストの言葉に割って入るようにナチュルはそう告げる。 「「クロワール?」」 「そう!今の彼の名前!だって名無しだったら困るじゃん?」 「それもそうだが……お前はそれでいいのか?」 唖然としていたクロワール(仮)に気づいたロブストはそう声を掛ける。 「うん、ボクは構わないよ!」 その言葉を聞きナチュルはドヤ顔をしているとロブストはナチュルの頭を小突く。 「痛っ!もう!なんだよ~!今いいとこだったじゃない?」 「どこがだ、話の腰を折りやがって──それでクロワール……だったか?さっき俺に何か言おうとしてたよな?」 「あっ!そうそう、ここってどこなんですか?それにロブスト──さん達は何者なんですか?」 「そんなことか、ここはラオブ林道、辺境都市エルンタルの外れ──ここで俺たちは依頼された物資の調達とエルンタルの市民達から依頼された魔物の対策をしてた」 「依頼?ってなんです?」 もちろん初めて聞く単語にクロワールは質問する。 「それは俺たちが何者かと言う質問に結びつく、俺たちはカンパニーの職員だ」 「カンパニー?」 「カンパニーって言うのはね!困っている人を助けるお仕事なんだよ!」 「まぁ、そんなとこだ」 「で、そのカンパニーの人たちがどうしてこんなところに?」 「それはね~!私達ここら辺を騒がせてる魔物の対策をしに」 「ナチュル、また来るぞ」 ナチュルはクロワールに説明をしている途中、ロブストは目の色を変えてそう言うと、近くにある雑木林から3mはあるであろう生き物が二足歩行で現れる。 「こんな奴も出るのかよ」 名称:フォレストグリズリー 種類:グリズリー 生態:ラオブ林道に生息するグリズリー、雑食だが主食は肉、性格はとても凶暴で繁殖期に入ると同族でさえ襲うこともある。体長は大きく、今まで観測された個体での最長は5mという記録もある。
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