氷と太陽の黄金比

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「おい!名月(なつき)がまた雪の女王に凍らされたぞ!」 食堂中に、野次馬の声が響き渡る。 すると、囃し立てる声や歓声が聞こえてくる。 雪の女王とビッグネームをつけられ馬鹿にされている私は、凍ってしまった名月先輩を見上げた。 「受験、頑張ってください。私には関係ありませんが」 固まった名月先輩は、夏に部活を引退してから坊主だった頭に髪を増やしつつある不思議な髪型。学ランからはいつも真っ赤なパーカーが見えていて、腰パンしているのか身長は私より頭2つ分大きいのに極端に足が短い。 足が短いですねって言った時に「腰パンだ!」とわざわざ学ランをめくり、真っ赤なボクサーパンツを見せつけてきた露出狂なので、服装については二度と言及しない。 190センチ、野球部部長、甲子園二回戦敗退、今まで部活中心の生活で彼女はいたことがない。 熱血で暑苦しく、男友達に常に囲まれている。所謂、完全なる陽キャラだ。 「じゃ、じゃあ受験が終わったら、再度結婚を申し込みたい!」 「……嫌です」 対する私は完全なる陰キャラ。 ロシア人の祖父の血を引くせいで、銀色の髪と青い目を持つ。 そのせいで笑わないだのお人形みたいだの、遠巻きに見てくる人が増えてきた。
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