ここに到るまで

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 家主の娘さんが、度々訪ねて来てくれます。つくりすぎちゃったから、と『うま煮』や『とり天』などを持ってきてくれます。彼女は、僕の童話を読んで凄くいいと言ってくれます。  僕は苦笑いです。どうにも、気を遣わせているように思えてしまって。  小さなコンテストの賞は何度か貰っています。でも、プロデビューに直結するようなコンテストとなると、一次選考も通過出来ていません。せいぜい、タダなら読んでもいいけど、ってレベルです。僕には、読み手を惹き付ける吸引力が足りないのでしょう。  僕は、なんとしても、自分なりの強い吸引力を手に入れたい。  修行の場が必要です。  家主の娘さんが、ウェブ小説投稿サイトで書くことを勧めてくれました。僕も、以前から気になっていました。挑戦してみようと思います。どのぐらいの人に読んでもらえるものなのかは、判らないのですが。百人に一人――いや、ここはどぉんと、十人に一人くらいは惹き付けられる作品を書けるようになれればな、と意気込んでいます。  世の中は希望に満ちている。  ああ、明日は素晴らしい一日になるに違いない。
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