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学費と貯金のため、もう2つほどこの夏はバイトを入れたい。そう思って今しているレジ打ちバイトの帰りにバイト情報誌を持ち帰り、その内容に目を通して申込先を控えていた。
今日が申し込み締め切りのバイトは無かったから、電話するのは明日でいい。一通りメモを終えてボールペンを動かす手を止める。日中に比べれば多少マシになったが、西日の入るこの部屋は未だサウナのように蒸し暑い。体力と気力を容赦なく奪っていく気温と湿気に、秀介は屈服して卓袱台に突っ伏す。
頭が朦朧とする。熱中症になりそうだ。
いや、もうなっているのか? なら、水分を摂らないと。
義務感が頭の中を空転するが、実際に体を動かす気にはなれない。ジャワジャワ、遠くの蝉の声が鼓膜を擽った。鮮やかなオレンジ色の夕日がベランダから差し込んで、ふつりと秀介は物悲しい気持ちに襲われる。傍に人が居てほしいと思った。
可愛い彼女ならベストだ。けれどこの際誰でもいい。いつも大学でつるんでいる基樹でもいいし、バイト仲間の育夜でもいい。何なら実家暮らしの折に、日頃から口煩いと思っていた母親だってこの際よかった。
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