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同じ授業をとって一緒に勉強をしたり、課題をファーストフード店でやるときなんかは楽しく話せていたのに、彼女が初めて自分の家へ訪ねてくるときには緊張してうまく話せなかった。
彼女は緊張した青年を優しく抱きしめ、頭を撫でた。
そのときだった。
この人と、ずっと一緒にいたい。
母が青年にそうしてくれたように、青年も彼女を優しく抱きしめた。
青年は26段目にしてやっと自分の恋人を両親に紹介することが出来た。
青年の両親は浮かれ、喜び、少し寂しそうだった。
「見守ってるからな。困ったことがあったらちゃんと言うんだぞ。」
父のその言葉は頼もしく、彼女もようやく落ち着いた心持ちで青年を、青年の家族を見つめていた。
お互いの仕事の忙しさや、生活の違いでよく口論にもなったが、彼女はいつでも優しく抱きしめ青年を許した。
31段目、青年と彼女の間に子供ができた。
次第に大きくなっていく彼女の腹部に触れると、彼女の中で自分とも彼女とも違う生命が息づいているとはっきり分かった。青年は不安で仕方なかった。
母のように愛し、父のように叱ることができるのだろうか。
彼女は子供ができて、少し性格も変わったようだ。
以前は控えめで、あまり自分の意見も言えないような子だったが、はっきりと私や周りに対して意見を言えるようになったのだ。
それでも、優しさは相変わらずだった。
32段目、子供が生まれて生活が変わった。
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