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という事があり、本日出社してみれば暴走した蜜がもう既に鷲崎さんとの一夜を終えたと明かしてきた。
夜鷹織とは大違いだ。
余裕が欠落しすぎでしょうが、鷲崎さんも全くもって物好きだよね。
まぁ、僕も蜜の事は大好きだから気持ちは分からなくもないけれど。
とにもかくにも、二人は愛を急速に育み始めているのだから、未来はきっとキラキラと輝いている事だろう。
「ねぇ、鷲崎さんって蜜が好きでしょう?」
「な、何ですか急に…。」
「ふふっ、僕の親友を好きになってくれてありがとうね。お願いだから、どうか蜜をずっと好きでいてあげてね。」
僕が定期的にデザイン部まで足を延ばして、鷲崎さんに蜜への想いを諦めるなと助言し続けてきた甲斐もあったって事かな。
「どう考えても凪咲は意地悪だ。」
「どうしてさ。」
僕と蜜の膝の上に乗せられた彩の美しいお弁当。
あれ、蜜の卵焼きハートになってる。僕のは星型なのに。
ふふっ、蜜にベタ惚れなんだね鷲崎さん。
「せめて、鷲崎さんと夜鷹織が双子だという事を教えてくれても良かったじゃない。おかげで僕は盛大な勘違いをした上に夜鷹織を恋敵だと思いこんで、御両親の前で鷲崎さんを攫うなんて無礼な事をしちゃったじゃない。」
心配しなくても蜜は既に無礼な事しかしてないよ。
不貞腐れてる親友を眺めながら、胸中で返事をする。
そんな事より、弁当のおかず口に入れる度ににやけるのどうにかなんないの。
「僕、ちゃんとヒントを出してあげたじゃない。それに気づかず暴走した蜜が悪いよ。」
「いいや、ヒントなんて貰ってないよ。」
「鷲も鷹も同じタカ科の鳥で、本質は変わらない。そう言ったじゃない。」
僕の発言に目を丸くした相手は、どうやらその台詞の意味をたった今理解したらしい。
やれやれ、鷲崎さん以外の事になると全然頭が回らないんだね。
「鷲崎さんも夜鷹も同じ血の通っている双子ですよって、ほぼ答えみたいな事を言っていたんだよ。」
「信じられない。」
「…。」
「分かりにくい。凪咲って馬鹿なの?」
「あはは、蜜が馬鹿なんだよ本当にどつくよ?」
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