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そうして迫り来る砂嵐の中を遅々とした前進をするうちに、フイに砂嵐は収まって、突然前からの抵抗を失った僕の体は砂の上にうつ伏せに倒れ込んだ。
「べべっ」
またしても砂が口の中に侵入する。立ち上がって前を見ると、目の前にエメドラちゃん、二人が重なるように倒れている。
「エメドラちゃん、ブラカスちゃん」
僕は二人に駆け寄って、まず上にうつ伏せに重なっていたエメドラちゃんを抱き起こして、それから同じようにうつ伏せ状態で砂に顔を埋めていたブラカスちゃんの体を起こした。
「ゲホゲホッ」
「コフコフッ」
「二人とも無事だったんだね、良かった」
僕は二人の体をギュッと抱きしめた。
「わあ、コラそんなにギュッとするなよ。苦しい苦しい」
「ストップ、ストップですー」
二人の悲鳴に慌てて腕の力を緩める。そうだ、僕の体はデカくなったままだった。
「ごめんごめん、二人が無事であんまり嬉しくって」
僕は二人の体からようやく手を離して言った。
「それよりも、オレたちはどうなったんだ? ビッグマウス・サンドワームは何処に行った!」
ブラカスちゃんは辺りを見回した。
「あそこだよ」
エメドラちゃんが指を指す。その方向に空に向かって竜巻が立ち上っているのが見えた。
「あれか、あの竜巻。またか、またあいつらは突然方向を変えたのか。いったい何が起きているんだ」
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