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ブラカスちゃんの声に、エメドラちゃんが答えた。その声は感情を殺して震えている。
「わたし、分かったよ。みんなにはまだ見えないかも知れないけど、あの砂煙の向こう側にちゃんと居るんだよ。あの、ゴールドベル・スケープゴートの群が・・・・・・」
「ええ、ゴールドベル・スケープゴートの群だって!」エメドラちゃんの話に、僕は驚きの声を上げた。
「そ、それじゃあその、ゴールドベル・スケープゴートの群は、僕たちのために群ごとビッグマウス・サンドワームの犠牲になっているって言うの? それじゃあもしかして、この前の時にブラカスちゃんとエメドラちゃんが無事だったのも、同じようにゴールドベル・スケープゴートがその身を捧げていたっていう事だったのか」
「・・・・・・」
エメドラちゃんは何も言わず、ゴールドベル・スケープゴートの群がビッグマウス・サンドワームの群に蹂躙されているであろう砂の竜巻を見つめ続けた。
僕たちがその竜巻を見ている間にも、それは根元からドンドン赤く染まっていく。そして、ついに竜巻は全てが赤い色に染まってしまった。その色は瑞々しく鮮やかで、それはまるで、不毛の砂漠に咲いた一輪のバラの花のようだった。
「おーい、ありがとうゴールドベル・スケープゴートー」
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