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僕は溢れ出す涙も拭わないで、その何よりも尊い動物の名を叫んだ。
「ゴールドベル・スケープゴートよー、オレは絶対に無駄に死んだりしないぞー」
ブラカスちゃんも同じように、竜巻に向かって叫んでいた。
「うう、ううううううううえええええええええええええん、うえええええええん」
泣き虫なエメドラちゃんは、ついに感極まって泣き声を上げた。でも、今は泣いている場合じゃあ無いんだ。
「行こう、エメドラちゃん時間が無い」
僕は泣いているエメドラちゃんの手を引いて歩き出した。ブラカスちゃんも後に付いてくる。そして僕たちはもう一度、人面岩に向き合った。
「この便器だ、この便器に必ず、ダイベンガーを蘇らせるヒントがあるはずなんだ」
僕はひざまずいて便器を隅々まで探った。
「何処だ、何処にある」
ずっと一緒に旅してきた便器だったのに、僕がこうやって便器の細部まで、細かく観察するのは初めてのことだった。
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