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「そうだ、蓋を開けられなくても中身が入っているかは分かるはずだ。もしも中身が入っているのなら振ってみれば音がするはずだし、それに中身があると言うことは、すでに使用済みに便器であってその本質は中身の方にあると言うこと、つまりこの便器自体は何かを封印するための単なる箱に過ぎない言うことになる・・・・・・」
僕は便器の蓋に耳を当てて、便器を揺らそうと構えた。
ピトッ
便器の蓋に耳を当てて音を聞こうと構える僕の頬に、何かが降ってきた。
「雨?」
頬を拭ってその手を見ると、それは真っ赤な色をしていた。
ポト、ポトポトッ
便器の上にも次々と赤い水滴が降ってきて、便器の白い肌を点々と赤く塗り替えていく。見上げるとさっきまで雲一つ無かった青空は、霧散した霧状の赤い色と混ざり合って赤黒く染まっている。太陽の光さえも赤いヴェールの向こう側で輝きを失って、辺りは真っ暗だ。
「これって、これって・・・・・・」
僕は赤い血に染まっていく自分の手を見つめた。
「これって、ゴールドベル・スケープゴートの、ゴールドベル・スケープゴートの血だあああぁぁぁぁぁ」
ザアアアアアアァァァァァ
僕の叫びは降り注ぐ血の雨が降り注ぐ音に飲み込まれていった。
ハッと我に返り、ブラカスちゃんもエメドラちゃんの姿を探すと、二人とも頭から真っ赤な血に染まって立ち尽くしている。二人とも、力なく諦めた様に死んだ目をしていた。
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