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 僕はそんな二人を見ていると、何だかもう、どうしようも無い気持ちになってきた。これほど多くの犠牲に対して何としても報いたいのに、それなのに僕たちはあまりに無力で、それでもどうにか生きていこうとする努力が本当に、本当に無駄な努力に思えて、もうおかしくておかしくて、笑えてくる。 「あは、あははははは、あはははは」  僕は血に染まる二人の姿を指さして笑った。 「ううう、うえええええええええん」  僕の気の狂った笑い声に、エメドラちゃんはまたしても泣き出してしまった。  バキッ 「こいつぅ!」  ブラカスちゃんのグーパンチが僕の頬をかすめた。背の小さなブラカスちゃんの拳は、僕の頬にやっと届くくらいでちっとも痛くない。それが尚更おかしくて、僕はもう、おかしくておかしてく、笑いを抑えることが出来ない。 「だってだって、あははははh、何だよこれ、何だよこれ、だってまるでこれじゃあ血の雨だ。これじゃあまるで、まるでB級ホラー映画のワンシーンじゃ無いか、あはははははは、あはははははは・・・・・・って、え?」  そう言った瞬間、僕の頭に稲妻の電気ショックが走ったような気がした。 「何だよ、いま笑ったと思ったら今度は何だよ」  ブラカスちゃんが僕の胸を叩いて言った。 「そうだ、そうだよブラカスちゃん、B級ホラー映画だ、ダイベンガーはB級ホラー映画だったんだ!」  キョトンとするブラカスちゃん、そして僕は振り返り、人面岩に向かって合い言葉を大声で叫んだ。     
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