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 僕は自分の中の曖昧な記憶を探った。確かに合い言葉は「目覚めよ、ダイベンガー」で合っているはずなんだ。でも、他に何か?  うつむいた僕の目に、さっきようやく取り戻した便器が目に入った。 「あ、そうだった便器だ!」 「そうか便器か。そう言えば、あれほど必死に探し回っていたのに大事なシーンで出番が無いなんて変だなと思ったんだ。それで、便器をどうするんだ?」  ブラカスちゃんが次々と質問してくる。そうやって、僕の失われた記憶を引き出そうとしてくれているんだ。 「うーん確か・・・・・・」  便器を使ってないかをする。一体何を?  僕は便器に触れて蓋を確かめたり、ユサユサ揺すったりしてみる。何かと行っても便座に座るか、蓋の上に乗るとか、そのくらいしか思いつかない。他に便器を使って出来ることはあるだろうか?  ブラカスちゃんの期待には答えたいけれど、でもそれで簡単においそれとは記憶は戻っては来なかった。 「便器ちゃん、一生懸命思い出そうとしているけれど、急がないとビッグマウス・サンドワームがもうこっちに来ちゃうよ」     
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