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エメドラちゃんの声にその方向に目を向ける。ビッグマウス・サンドワームの群は、もう数十メートルの所まで迫っている。それらが砂煙を上げながらすごいスピードで迫っているのだ。もう時間が無い。今すぐ合い言葉を言ってダイベンガーを呼び出さなければいけないのに・・・・・・。
「あああ、もうダメだ」
「便器ちゃん!」
僕は頭を抱えうずくまった。
「便器ちゃん、諦めちゃダメだ」
ブラカスちゃんが僕の方をユサユサした。だけどもう、どうやっても今からじゃ間に合わない。
「エメドラちゃん、待って、一人で行っちゃダメだ」
ブラカスちゃんの声に振り返ると、エメドラちゃんが一人でビッグマウス・サンドワームの方に走っていくのが見えた。続いてブラカスちゃんも後を追って走って行く。
「ダメだ、そっちじゃ無い。そっちはダメだ」
僕の声を無視して二人は僕と、ビッグマウス・サンドワームの群との間に立ち塞がった。二人の姿はビッグマウス・サンドワームの巨体を比べてあまりにもちっぽけだった。それはアフリカ象の前に立ち塞がるアリンコの様にさえ見えた。そして、二人の姿はビッグマウス・サンドワームの巻き上げる砂の中に吸い込まれていった。
「うわあああああ」
僕は絶叫した。
しかしその僕も、すぐに二人の後を追って、同じ砂煙の中に吸い込まれてしまった。
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