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ゴゴゴゴゴゴゴゥゥゥゥゥ
耳を聾する音の洪水が、周囲の空間の全てから押し寄せてくる。僕はこの砂の竜巻に飲み込まれてすぐに、ビッグマウス・サンドワームの群に押しつぶされて死ぬだろうと思っていた。それなのに、僕の体はいつまで経っても平気で、ただ真正面から迫ってくる砂嵐に耐えて立ち尽くしているだけだった。
ゴゴゴゴゴゴゴゥゥゥゥゥ
「ど、どうなってんん、ぺっ」
口を開けるとその中に、砂がドンドン入ってくる。目もとうぜん開けていられなかったが、それでも顔を腕でかばって目を開けて周りを見ようと努力をする。もしかしたら、二人も僕と同じで無事なのかも知れない。
でも、どうして?
僕は二人が無事かも知れないという想いに突き動かされて、この砂嵐の中を少しずつジリジリと前進し始めた。
ゴゴゴゴゴゴゴゥゥゥゥゥ
僕が砂に飲み込まれる一瞬前に見た二人の姿は、それほど遠く離れてはいなかったはずだ。少し前に進めば、二人の居た場所まで歩いて行ける。でも、その少しの距離を進むのも一苦労だった。
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