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10
僕は人面岩の前にたどり着いた。そして自分が置き去りにした便器を捜していた。しかし便器は何処にも見当たらない。エメドラちゃんの魔法で巻き起こした風によって、視界は良好なはずなのに、便器の姿は何処にも見られなかった。きっとビッグマウス・サンドワームの巻き上げる砂によって、地面の下に埋まってしまっているのだ。僕は人面岩を見上げた。そして最初に便器の前にうずくまって人面岩を見上げた時の光景を思い出した。
「そうだ、たしかぼくは便器の前でうずくまっていたんだ。でも、そんな格好で一体そこで何をしていたんだろう?」
ブラカスちゃんにここで何をしていたか聞かれたことを思い出した。そして、砂漠でビッグマウス・サンドワーム群の中に置き去りにされて、身動きの出来ない二人の友人の姿が目に浮かんだ。
「そんな事よりも今は!」
僕は人面岩の位置から目星を付けた場所の砂を掘り出した。ここに、ここに便器が埋まっているはずなのだ。それさえあれば二人を助けられるはずだ。
ザッザッザッザッ
僕は地面を掘り、霧中で砂を掻いた。
ザッザッザッザッ
ザッザッザッザッ
ザッザッザッザッ
堀っても掘っても、便器は出てこない。
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