1、いつも彼が泣いてばかりいたのには、理由がありました。

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「よー、なに泣いてるんだよ。」ナキムシが顔を上げると、そこにいたのは。 「タイヨウ!」ナキムシは思わず声を上げました。 「ばーか、オレだよ。」声のするほうを見ましたが、そこには干草があるばかり。 「ど、どこ。」ナキムシはあたりを見渡します。しかしどこにも声の主はいません。 「だからここだって。」声は少し近づきました。 「え、あ、ああ。」ナキムシがふと地面を見ると、そこにいたのはハツカネズミでした。 「やっと見えたかい、泣き虫さん。」キョトンとした顔のナキムシは、ハツカネズミが喋るのをじっと見ています。 外ではお月様が富士山の上で、世界をちょっとばかり明るく照らしています。
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