1、いつも彼が泣いてばかりいたのには、理由がありました。

3/4
前へ
/224ページ
次へ
「き、きみは。」オドオドとナキムシはしゃがみこみました。干草がフワっとへこみます。 「おいおい、オレのこと覚えてないの?」ハツカネズミはあきれたとばかりに、声を出しました。 「え、ええと、もしかして。」ナキムシは泣きそうになりながら手を口にもっていきました。 「そう、オレだよオレ。」期待した目つきでハツカネズミはナキムシを見ています。 「もごもご。」ナキムシが何か言いましたが、手で口を押さえているので聞こえません。 「バカだな、それじゃ聞こえない。手をどけろよ。」ハツカネズミに言われて、ナキムシは実際そうしました。 「ビリー?」ナキムシはもう一度、今度はしっかりとした声で言います。するとハツカネズミの顔はパッと明るくなります。
/224ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加