3、ナキムシは必死の顔で、ドラム缶を両手で抱えています。

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「まだ今ならみんな起きてないから、このガソリンを巻いて、それから火をつけるんだ。」ビリーはなるべくナキムシを刺激しないように、冷静に言いました。 「だけどさ、だけどそんなことしたらキクちゃんもシオンさんも死んじゃう。」ナキムシはおどおどしています。 「わかってるよ、だけどさ、実際タイヨウの野郎は、お前の兄さんは奴らに殺されたんじゃないのか。」ナキムシは青空を見ながら、あの日のことを思い浮かべ生ました。 「そうだ。」ビリーもあの日、タイヨウが銃で撃たれた日の風や太陽や葉っぱ、そして池に広がるタイヨウの血の匂いまでナキムシは思い出しました。 「あー、あー、あー。」ナキムシが叫び出します。 「おい静かにしろって。」ビリーは気が気でありません。 「おー、おー。タイヨウ、タイヨウ、行かないで。タイヨウ、死なないで。」ナキムシはもうパニックになって、目の前に兄のタイヨウがいるかのように手をめちゃくちゃに振っています。
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