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シュッポシュッポシュッポシュッポ。
茨城の山間部へと向かう機関車はその体にいっぱいいっぱいの子供と付き添いの教師、寮母さんなどを乗せたくさんの煙を吐きながら走る。
約120キロの道のりを3、4時間かけて機関車は進む。
将暉の乗った機関車の車掌さんは優しい人で子どもたちが「ぽっぽーやって」というと気軽に汽笛を鳴らしてくれた。
茨城の地に着くとその土地の学校や公会堂、神社や寺の人が迎えに来てくれていた。
機関車の中で何人かの子達と仲良くなったが残念なことに皆疎開先は異なった。
彼の宿泊場所は山の中にある宿泊地だった。
宿の名前は「萌芽」。
この宿には機関車の中で長い間面倒を見てくれていた春子さんが来てくれた。
機関車で初めてあった人だがとても優しかった。年は15歳。同い年の子には勤労動員などにより工場などで従事させられたものもいる中、数少ない疎開を許された女学生であった。
宿にいる間何十人もの子供の面倒を見ていた。
「将暉くん。どうかなこっちの生活は。空気も美味しいし土地が広いから楽しいよ。たまにはみんなと外で遊びましょう」
将暉はいつも宿の従業員の人のお手伝いをしていた。
というのもお手伝いをすると宿の人が内緒で飯をくれるからだ。
春子の目にはそんな将暉がお国のために、とただ真面目に働く男の子に見えたのだろうか、心配になって声をかけてきた。
将暉は勿論ご飯のためというのが第一であったが長いことお手伝いだけをしていたため遊んでいる子達の輪に入ることができそうにないと思い、春子の誘いを断った。
「じゃあお話しましょう」
将暉は人の話を聞くのは好きだった。
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