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黒猫
「お母さん お金ちょうだい」
この子の名前は 雛 可愛い可愛い一人娘だ。
少し大人びた雰囲気でわがままも言わず良い子で育ってきた。
…でも大学生にもなると何かとお金が必要らしく、頻繁にねだってくるようになった。
私としてもあげたいのだがさすがにこう毎週毎週お小遣いを超えた要求をされると家計が回らなくなってしまう。
「あ…あのね…お母さん…お父さんに言われてて…お家のお金に手を付けるなって…」
「チッ」
「ご…ごめんね…」
「はぁ…じゃあいいや」
娘が電話している。彼氏だろうか何だかあまりいい雰囲気ではなさ…
「お金、ないからしょうがないでしょ?はぁ…またね」
「…ごめんね…雛ちゃん…」
「…じゃあ暇つぶし、付き合ってよ」
「へ…?」
…状況が呑み込めない…
少しイラつき気味の雛ちゃんが私に抱き着いて顔をすりすりしてくる。
まるでエサをおねだりする猫みたいだ。
「ひ…雛ちゃん…?」
「なに」
「…えっと…どうしたの?」
「どうもしないけど、なに?」
「え…あ…うん…わかった…」
ううう…わけわかんない…
私は昔から気が弱く、言いたいことが言えない人間だった。
そんな私にも、少し強引だけど頼りになる夫。雛ちゃん。
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