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―――それに加えて、と、莉王は思う。
ちらりと視線を映し、校庭の横、図書室のある校舎の窓を見やった。
小さな窓越しに、カウンターで何やら書きものをしている瞳子の後ろ姿が見えて、自然と表情が緩むのを感じる。
―――まさか鷲高で、こんな大事なもんまで見つかるなんてな。
だからこそ、守らなければならない。
宝生院のガリ勉共や、あの人形みてぇな宝生奏に、手を出されてたまるか。
そんな物思いに耽っていると、入口の扉が開き、志季が屋上に入ってきた。
「‥‥2年のトップ争いは決着が着いたそうだ」
「そうか。‥‥長引いたみてぇだけど、決まったなら良かったな」
校舎の中から次々と出てくる、血だらけの制服の群れはやはり、2年の最終決戦の参加者たちだったらしい。
次の王の座を誰に譲るのかは決まった。
あとは、宝生院とのゴタゴタにどうにかケリをつけて、次の代に引き継がなければならない。
こんなややこしい争い事を、次の代にまで持ち越させる訳にはいかないのだ。
「‥‥宝生院の件、晴斗が早く報復したいと苛立ってる」
「あぁ‥‥この前やられたあいつと、幼なじみか何かだったか」
もちろん莉王も、報復できるものならそうしたい。というか、そうできるなら、もっと早い段階でそうしている。
けれどそれが出来ないのは、宝生院が「普通の相手」ではないからだ。
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