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「‥‥おーい、そろそろ終わったか?莉王」
「おー、終わった終わった。あとは2年の奴らに任せとけ。あちらさんに送り届けろってな」
恐怖のあまり失禁して気を失った男と、床でのびているその仲間たちを置き去りにして、莉王は教室を後にする。
外で待っていた二人の友人、志季と晴斗を引き連れて、誰もいない廊下を歩いていく。
「りおっちー、俺ハラへったー、メシいこメシー」
「そーだな、俺も腹減ったわ、けっこう体力使ったしなー」
「言うほどのことでもないだろう、あの程度‥‥そうだ莉王、聞いたか?あの話。図書室の」
「図書室?」
メシだメシだとはしゃぐ晴斗の頭をぐしゃぐしゃと撫でながら、莉王は志季に聞き返した。
「明日から、司書が変わるらしい」
「またか?どーせハゲ散らかしたおっさんだろ」
「いや、それが‥‥」
「おねーさんなんだってよ!」
「女ァ?」
興味なさそうに聞き流していた莉王は、そこで怪訝そうに足を止める。
「‥‥え、それは、おばあちゃんみたいな感じじゃなくて?」
「聞いた話だと、大学出て間もないっていうから20代前半だろうな」
「うちの学校に女の先生なんて初めてかもねー!」
あははー、飛んで火に入るナントカだー!と笑う晴斗に、莉王も「そうだなぁ」と笑いながら返す。
「‥‥まぁ、こんなトコに好きこのんで来るなんて、よっぽどの阿呆かビッチかどっちかだろうな」
「どっちにしても頭わるそーだね!」
「本当にな」
血の付いた手の甲を眺めながら、莉王は、ほんの少し口角を上げて笑った。
「‥‥さーて、何日保つかねェ‥‥」
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