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「‥‥あんな小動物みてぇな奴、食われてボロボロんなって辞めんのがオチだろ‥‥」
「まあ、そうだろうな。でも別に、いいんじゃないのか?それで」
「‥‥あぁ?」
予想外の返しに、思わず剣呑な表情で志季を見ると、志季は軽く肩をすくめて続けた。
「別にその女がどうなったところで、俺たちには関係ないだろう。その女は食われて傷ついて退職する、またすぐに別の司書が補充される、それだけのことだ。何か問題でも?」
「次はまた枯れたオッサンかもしれないけどー、今までだってそうだったし別に困らないよねー!」
志季と晴斗の言葉に、何も言い返せずに莉王は黙り込む。
確かに、新任の司書が辞めようが、危険な目に遭おうが、莉王には関係がない。
そのはずなのに、どうにも気になって仕方がない。今この瞬間にも、あの女がまた襲われて、ぽろぽろ泣いてるんじゃないか。そんな思いが心の隅にちらついて離れない。
「‥‥あぁ、ほら。噂をすれば」
「なーんかモメてるねー!」
莉王の先を歩いていた志季と晴斗が、渡り廊下の窓から何かを見ている。
ハッとして近づいてみると、向かいの建物、図書室の窓から、カウンターで瞳子と数人の生徒が揉めているのが見えた。
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