第3章 守ってやるよ

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矢吹くんの「提案」を断ってから4日が経った、勤務が始まって2週目の金曜日。 「と‥‥とりあえず、一週間終わるー‥‥」 あと小一時間で勤務時間も終了、という時間帯になって、私はため息をつきつつ、カウンターに突っ伏した。 矢吹くんと話したあの日から、ずっとピリピリ緊張しながら、日々の仕事に従事していた。 常に唐辛子スプレーや防犯ベルを持ち歩き、何かあったらすぐに取り出せるよう身構える日々。 ‥‥けれど、予想に反して、この4日間は平和で、図書室でも校内でも、特に危ない目に遭うことはなかった。 「‥‥まあ、そもそも図書室に誰一人来ないんだけどね‥‥」 私がこの学校に着任してから、図書室にやって来たのは、初日のあの子たちと、矢吹くんだけ。 手持ち無沙汰なので、毎日ポップを書いたり、落書きされた本を綺麗に修復したり、書棚の配置を工夫してみたりと、色々やってはいるけれど、来る生徒がいないんじゃ意味がない。 「‥‥でも、まだ2週間だし!これからこれから!」 自分に言い聞かせるように呟いて、新刊コーナーの整備でもしようと立ち上がると、急に図書室の扉が開いた。
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