百戦錬磨のあの人は…

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 途端、パッと表情が明るくなったのが自分でもよく分かる。  が、あの人の隣にもう一つの影があり、それを見た途端、わたしは一気に表情を凍りつかせ、落胆した。  あの人はまた新しい可愛らしい彼女を連れてきている。  この人に彼女がいない時期はなかった。  いつだって、タイプの違った彼女がいる。  今もそれは変わらなかった。  ただそれだけのことである。  落ち込みそうになる気持ちを心の奥に押し込み、わたしは笑顔を作った。  「お兄ちゃん、どうしたの?」  笑顔を貼り付けたまま、わたしは血のつながった実の兄に問いかける。  これが絶対に結ばれることのない理由。  百戦錬磨のあの人はわたしの実の兄でした。                                             終わり
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