一幕悲劇

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「いやー、この前田舎に帰るとね」 「ああ、田舎に帰ってたんだ」 「その辺の陰に隠れて、どこでも立ちションできるのよ」 「やめなさい」 「そうしてたら、『よーい、立ちション!』って、映画監督っぽい人が出てきて、俺の立ちションを撮影し始めるのね」 「なんだそいつ!?」 「スタンリー・キューブリブリック」 「キューブリブリック!? どっかで聞いたことあるな」 「で、俺は言ったの。撮るのやめてくれませんかって」 「そりゃそうだよな」 「そうしたらキューブリブリックが、『傑作を撮るためには、どうしても立ちションが必要なんだ』って、熱心にお願いしてくるんだ」 「どんな映画だよ! マニアックなビデオじゃねーのかそれ」 「で、俺はその誠意に心打たれて許可したのよ」 「よく許可したな!」 「その映画が『ニョリータ』ってんだ」 「どっかで聞いたことあるぞ」 「『どんなシーンで俺の立ちション使うんですか』って聞いたら、『エンディングだ』って」 「最後でぶち壊しじゃねーのか」 「終わり良ければすべて良し」 「どこがだよ」 「なんでも、『映画見終わったらおしっこしようね』っていうメッセージ性らしいぞ」 「余計なお世話だ!」 「それで、キューブリブリックにお礼言われて、手を振って別れたんだ。俺はおしっこしながら、スタッフロールが流れるところを想像していた」 「立ちション長えな!」 「長くねーだろ! 100秒ぐらいだよ」 「無理やり100ねじ込むな!」
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