第七章――猛追

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 薔薇乃さんはテーブルに置いていた手札カードの束を再び右手に持つ。 「前半の工程は、相手プレイヤーの手札を解析するために存在します。……そう、見るのではなく、解析というところが重要ですね」  解析……? どういう意味だろう? 「壁役や隠しカメラなどを使った手札の覗き見はイカサマの常套手段。イカサマを疑うとしたら、誰もが真っ先にその方法に考えつくでしょう。しかし今回は手札を覗き見出来そうな位置を探してみても、何も見つからなかった。当然ですね、このイカサマで見られていたのは、わたくしの手札ではなかったのですから」  薔薇乃さんはテーブル中央へ手を伸ばすと、ガラス張りになっている部分を指の背でコンコン、と叩いた。 「見ていたのは、ダウンカードのほう。このガラスの下に隠してある小型カメラで、伏せられたカードを覗き見していた……そうでしょう?」  日野浦は黙って薔薇乃さんを睨みつけている。私はそこで、思わず間に入ってしまった。     
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