風速100メートル

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「そうだ。パソコンで打たれた文字がコピー用紙に印字されている。封筒には宛先のみ、これも印字されたものだった。指紋や他に手掛かりはない。風速のことかと思ったんだが」 「風速100メートルなんて、この季節に吹かないだろう?いや、根本的にないだろう?」 「そう、台風でも日本じゃ100なんて行かないんだ」  日本では最高約85までしか出たことがないということを立神と鬣は知っているようだ。 「じゃあ何故、風速だと思った?」 「彼女の落ちていた場所が自然落下地点より遠くにあったからだ。その日、確かに強風が吹いていたことは調べで分かっているが、風速100には到底ならなかった。だが、彼女は華奢な体型をしている、その日の風速で押される可能性は大いにある。ただ、強風でバランスを崩して吊り橋から落下しただけとなると手紙の謎が残ってしまうんだ。風速の危険性を伝える手紙なんて送らないよな……」 「誰かに押されたか?」 「残念ながら誰かが押した痕跡もなかった」 「その93ってのは、何なんだ?」  虎太郎が不満そうに短く咆哮したところで、立神は背後に気配を感じた。そろりと振り返ってみる。
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