風速100メートル

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 見ると、そこには見知らぬ老夫婦が立っていた。立神と目が合うや否や、下手くそな目の逸らし方で去っていく。 「二度見してたぞ?」 「知ってる」  立神より虎太郎は先に気付いていたが日常の中の異日常感を求めて言わなかったようだった。結果、一人と一匹は知らないだろうが老夫婦は立神から離れたあと、歳からか何度も彼について話し合っていた。 「それで、他に事件の情報はないのか?」 「ある。実は彼女の部屋を捜索することになって、部屋から同じような手紙が二つ出てきたんだ」 「何が書いてあった?」 「”100になったら死ぬ 77”と”100になったら死ぬ 27”」 「ああ?なんで急に下がるんだ?」  檻の中を悩まし気な雰囲気でゴロンゴロンと転がる虎太郎を見て、立神は珍しいなと思った。もしかして虎太郎は数字が苦手なのでは?という立神の心配は直ぐに払拭された。 「93を100にするには7を足すだろう?」  簡単ではあるが、計算式が虎太郎の口からスラスラと出てくる。 「77を100にするには23を足す」  つられて立神も次の計算式を口にした。 「27なんて73も必要だろう?一体、何の数字だ?」  一人と一匹、交互に計算式を言ってみたが混乱するだけだった。
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