風速100メートル

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「なあ、これ単体じゃなくて全部足して100にするには、どうしたら良い?」  そう虎太郎に言われ、少々複雑になってきた計算を攻略するために立神は檻の前でしゃがみ込んだ。そして、落ちていた短い枝で地面の砂に計算式を書いていく。 「んー、93足す77引く27……」 「いや、違うな、足りないし、足り過ぎる。ただの数字か?だが、必要が無かったら手紙に書かないよな?」  分かっているなら訊くな、と心の中でぼやいた立神が表情を曇らせながら「掛けてみるとか?」と言ったが虎太郎は全く聞いておらず、「937727……何かのパスワードか?」とブツブツと呟いている。 「9掛ける3は27、7掛ける7は49、2掛ける7は14、それを足すと90だ。となると100に足りないのは10だな。10を割ると2と5になる」 「おい、今なんて言った?」  ライオンの檻の前と中でブツブツと何かを唱える異様な儀式が始まりそうになった頃、虎太郎が立神の言葉に反応した。慌てて立神が計算式を読み直す。 「9掛ける……」 「そこは良い、最後だ」  カンカンと鋭い爪で檻を引っ掛かれ、立神は立ち上がった。そして、計算式の答えの部分のみを虎太郎に伝える。 「最後?足りないのは10、10を割ると2と5になる」 「それだ!よくやった!」  閃いた!というように虎太郎は興奮しながら檻の中を駆け回る。その姿に立神は置いて行かれたようにポカンとした顔をした。だが、これは捜査だと思い直し頭の中で必死に2と5を想像した。
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