風速100メートル

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「2と5に何があるんだ?」 「式は解けたのに、まだ分からないのか?」  呼吸を乱すことなく、再び虎太郎が檻の柵に近付いた。鋭い眼光が立神に刺さる。 「25だろう?」 「駄目だ、一緒にするな、数字を離せ。2と5、つまりニコだ。被害者の名前は斎藤ニコだったよな?」  立神が答えを導き出すまで待ち切れないというように虎太郎が答えを早口で捲し立てるように言った。 「そうだ!つまり、手紙に書かれていた数字は全部名前だったってことかい?そうなるとクミ、ナナ、ニーナか、この三人が斎藤ニコの死に関与しているなら、直ぐに居場所を」 「遅い」 「え?」  謎が解けたことへの喜びの表情から、立神の表情が一変し険しくなる。 「もう遅い。ここからは俺の憶測だが、これは心中の手紙だ。死に場所は分からんが、残念ながら今日中か明日の朝には他に三人の自殺死体が見つかるだろう。100になったらというのは死にたい人が集まったらという意味だったんだな。どこで知り合ったかは知らないが、中心はクミという人物だと思う」 「何故、分かるんだ?」 「これも俺の憶測だが、斎藤ニコが所持していたのは93の手紙だ。本当は死ぬのが怖かった、だから、お守りに心中を提案したクミの手紙を持っていた。背中を押してもらうためにな。結局、自殺だったってわけだ。自殺し、お前が言っていた通り、風に押された」 「よく、そこまで分かったな」 「お前が数字の謎を解いたからだ。今回は一人でも解決出来たんじゃないのか?」  立神の目にはライオンであるはずの虎太郎がニヤリと笑ったように見えた。そんなわけはない、と首を振りながらハッとする。
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