第四十章 現状把握

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第四十章 現状把握

彼はその足で病院に向かう。 主治医は在席していた。 姉の病状と、回復の見込みを尋ねると 彼は首を横に振った。 「ご両親に言った金額はあくまでも受け入れ態勢が整って ドナーが見つかってからの話ですからね。 ぴったりのドナーが見つかるだけでも 結構な確率なんですよ。」 「移植しか方法は無いんですか?」 「完治させるなら、それしかないです。 今のままでは行動は制限されて 下手したらベッドで寝たきりになる。」 「そうですか。」 ため息をつく滝川を、医師は同情交じりの目で見つめた。 「たまたま事故に遭うとか、脳死状態とか・・・・・・ めったには無いですが、0ではないですから。 希望は無くさないことです。」 肩を叩かれ、滝川は我に返った。 “元気な心臓” その言葉が頭を回った時、彼の中にアキコの姿が思い浮かんだ。 一瞬寒気がして、自らを抱く。 変な事を考えそうになる自分が怖かった。
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